金本の真面目日記

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週末カミング

読んだ本の感想を書きます。

 週末に関する短編集でした。何も事件が起こらない小説なので面白かったです。

 

週末カミング (角川文庫)

週末カミング (角川文庫)

 

 私は今まさに私は週末カミングの最中でございますが、私も昔の知人と会ったりしますが(東京から勤務校の入試の仕事で来阪する大学教授です)、何も起こらない週末を過ごします。

「なみぎゅまの日」は夢の中に出てきた謎の言語「なみぎゅま」が頭の中に残って折に触れ現れてくる話でした。あと「地上のパーティ」という話も面白かったです。金持ちのマンションのパーティーに呼ばれてホテルのフロントが豪華だったことから「ホテルライク」という不動産の広告のような言葉が頭に浮かんでなかなか消えない話だったり、どうでもいいことをいちいち書いているのが面白かったです。著者の柴崎さんはどうでもいいこと専属の書記官なのかもしれません。どうでもいいことは誰かが書かないと忘れられて消えてしまうので書記官が必要です。どうでもいいけどどうでもよくないことをいちいち書く作家は信頼できます。どうでもいいことの書記官というのはboss tha mcが「この街の専属の書記官」と言っているのを転用した表現です。

この小説を読んでから通勤電車でいつもみる「寛ぎの空間、江坂、垂水町に住まう。」というマンション広告のコピーが面白くなってきて電車の中で笑いそうになるということが増えました。目の前にあると気が散って読書がはかどりません。「住む」ではないところもポイントですが、このコピーを見て「俺も江坂に住まう~、ぜひとも住まいたい~」となるそこそこ金を持った大人たちが一定数いるのかもしれないと思うと楽しくなってきます。「住まう」と「相撲」で韻が踏めるので、相撲のユーモラスなイメージも乗ってきます。

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